過去のコラム

管理人発信の何気ない内容です


VOL.3
2023ファミリーコンサートで演奏する曲目について,管理人が独断と偏見(?)で綴るページです
※会場で配布されるパンフレット内の曲目解説文章とは,一致しない個所もあるかもしれません。
※なおこの記事はお知らせなしに加筆・修正を行う場合があります。
作曲者の人物像や作曲の背景,オペラの劇内容についてはほとんど触れていません

♪ スラブ舞曲 第8番、第6番(第1集op.46)
第8番は楽譜上は3/4拍子ですがかなり速いテンポの曲です。出だしから全オーケストラで力強くリズミカルに始まります。強弱を繰り返した後リズムが落着き,木管の優しいメロディが聴こえてきます。その後また元の活気が戻ります。このパターンが2回続いた直後にあっさりと終わります

第6番は第8番とは違い,聴きながら3拍子をカウントできるようなテンポでのどかなムードで始まる曲です。盛り上がる箇所もありますが,全体としては明るく軽いリズムと少し歌いこみのある短調の部分でできている聴きやすい曲です ♪ 劇音楽「仮面舞踏会」より第1曲「ワルツ」 切迫するような弦楽器のメロディ(3/4拍子)で始まるこの曲は「楽しい」「優雅な」というイメージはあまりないかもしれません。伴奏パートを聴くと耳なじみのある「ズンチャッチャ」というリズムが主体となっています。調性では短調がメインとなっていますが暗いというよりは力強いイメージが強いかもしれません。途中2度ほど出てくるritardando(だんだん遅く)からのLento(幅広くの意味)は強いrit.がかかると思いますので,この曲を聴いたことがある人でもかなりのブレーキ感を覚えるかもしれません。

♪ 劇付随音楽「道化師」より「ギャロップ」 馬が爆走するようなシーンを彷彿とさせる,理屈抜きで楽しめる曲です

♪ バレエ「恋は魔術師」より「パントマイム」 冒頭,叫び声に似た高音楽器に中低音とティンパニが激しく絡むフラメンコ風です。落ち着くと,フルートとピアノが揺れるようなきれいなモチーフを奏でます(ここは7/8拍子というちょっと変わった拍子です)。それに乗ってチェロソロが甘美なメロディを歌い上げます。ソロはオーボエ,ヴァイオリンへと受け継がれ最後はトランペットが弱音ながら情感たっぷりに歌い,曲を閉じます。
♪同「火祭りの踊り」 ちょっとおどろおどろしい序奏ですが,強弱の変化やトリルが「悪霊を払う儀式」の雰囲気を出しています。踊りは激しさを増していきますが,一度火が衰えたように静かになります。再度激しくなっていきラストではテンポアップして終わります。
♪ 歌劇「エフゲニー オネーギン」より「ポロネーズ」 ポロネーズは3/4拍子の舞曲で,貴族の踊り(の場面)に使われていることが多く,荘厳な曲調になっていることが特徴です。「エフゲニー・オネーギン」という歌劇の内容は,失意・失恋・人を殺めるという,穏やかではない内容ですが,この「ポロネーズ」だけを聴くと堂々とした曲調に聴き入ってしまいます。
♪ バレエ「白鳥の湖」より 「ワルツ(組曲 No.2)」 白鳥の湖の中ではかなり有名な曲です。優雅な部分,力強く盛り上がる部分など多彩な内容を持つワルツでこの1曲で5分以上かかる場合が多いです。
「大きな白鳥たちの踊り(第2幕 No.13-3)」 これもワルツで優雅な雰囲気の曲です。
「4羽の白鳥たちの踊り(組曲 No.3,or 第2幕 No.13-4)」 ファゴットの五度のきざみに乗って2本のオーボエが歌いだす4/4拍子の曲です。 ホームクラシック集CDに収録されていることもよくあり,割と知られている曲です。
「スペインの踊り(組曲8曲版 No.6,or 第3幕 No.21)」 リズムパターン,タンブリンやカスタネットの活用により,いかにもスペイン,という曲です。
「マズルカ(組曲8曲版 No.8,or 第3幕 No.23)」 豪勢に音が鳴るところは「エフゲニーオネーギン」の「ポロネーズ」に似ていなくもないのですが,エフゲニーオネーギンが貴族・宮廷の音楽だったのに対して,マズルカは民衆の踊りです。最初から最後まで楽しさ・活気にあふれ,今回の演奏で言えば,ポロネーズよりかなり速い演奏になるでしょう。中間部で一旦停止した後,クラリネットのデュエットが少しだけテンポを緩めて聴こえますが,ヴァイオリンが入るときにはテンポは元の速さに戻っています。にぎやかさを維持したまま曲は終わります。
「フィナーレ(第1幕 No.9)」 有名な第1楽章の「情景」に似た音楽です。違うのはこれは第1幕のしめくくりなので,主要メロディに続いて低音楽器が下降音階を奏でると全オーケストラで大団円となります。



VOL.2

第36回定期演奏会で演奏する曲目について,管理人が独断と偏見(?)で綴るページです ※会場で配布されるパンフレット内の曲目解説文章とは,一致しない個所もあるかもしれません。
※なおこの記事はお知らせなしに加筆・修正を行う場合があります。

〇モーツァルト:「劇場支配人」序曲  
「劇場支配人」は、「フィガロの結婚」と並行して作曲されたといわれる曲で,1幕の音楽付きの喜劇です。序曲は、2管編成(ざっくりいうと木管の各楽器が2本ずつとなっている編成)となっています。 曲の冒頭では,第1主題が全体によってフォルテ(大きく、力強くetc)で提示されます。ピアノ(弱く、やさしくetc)の部分をはさみながら第1主題が繰り返し出たりするうちに,ヴァイオリン2部(1stと2nd)を中心に第1主題の部分を終わらせます。続いて第2主題が第1ヴァイオリン→オーボエ→ファゴット→低弦とリレーし,やがてオーボエとファゴットによる優しくも上昇機運を持ったパッセージが出てきます。そのあと,全体で第1主題が短調になって強く演奏され,形を変えながら続いていき,ティンパニのロールをきっかけにこの長いフォルテが止み,木管の飾り付きのような細かい音型が変化を感じさせた直後に,第1主題が元の明るい調になって戻ってきます。 その後は,前半で聞かれたような曲想が現れ,最後は明るく曲を閉じます。

〇チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番  
この曲は,聴いたことがある人が多いでしょう。「ピアノ協奏曲」全体の中でもトップクラスの有名な曲です。  
第1楽章は,堂々とした3拍子で,ホルンのメロディで始まります(b-moll)が,主役のピアノは,6小節目からすぐの登場ですが,驚くべきは,ピアノが最初に弾くのは,4分音符の連続した和音でいわば伴奏です。その部分のメロディはホルンが吹いたメロディを長調にしたもので,弾いているのはヴァイオリンなどの弦楽器ですが,伴奏であるはずのピアノが,なんとも存在感がとても大きいのです。 オーケストラがメロディでピアノが伴奏という構成は,1回目のカデンツァの後でも聴くことができます。 
中間部のオーケストラだけの4/4拍子の後半ではかなり積極的に加速して,ピアノソロにバトンタッチするところも聴きどころです。 第1楽章は全オーケストラで,B-durの力強いのばしで終わります  

第2楽章は,Des-dur,遅い-速い-遅いの形式で書かれていて,遅い部分は,木管楽器やホルンが代わる代わるのどかなメロディを奏でます。 中間部分の速い6/8の部分では,抒情的な要素はなくなり,舞曲風に進んでいきます。 最後は,冒頭と同じゆっくりになり,変ニ長調の和音が聞こえる中,弦楽器のピッツィカートが2回鳴り,やさしく楽章を閉じます。  

第3楽章は,今回の演奏では第2楽章が終わると「間」を空けずに始まります(音楽用語でatacca=アタッカといいます)ティンパニの1打で始まる3拍子(Allegro con fuoco,b-moll)ですが,皆さんが知っているテンポの中でも速めに進んでいくところがけっこうあるかもしれません。 オーケストラもピアノも聴かせどころはたくさんあるのですが,あっという間に過ぎてしまうので,演奏側も余計に気を抜けません。中間にテンポが落ちるところがありますが,新しい曲想が始まるというよりあくまで演出上のようなのテンポ変化なのかもしれません。  
第3楽章全体を通して,「のどか」「繊細」というイメージはほとんど感じないかもしれないです。ただ,ラスト部分で,オケ全体が力強く演奏するメロディ(B-dur)が,途中で少しだけテンポが落ちるところでヴァイオリンが弾くパッセージを使用しているのですが,その部分では少し音楽に「柔らかさ」が見えます。  そのあと,オケ全体のメロディは3拍子のまま加速していき,ピアノと掛け合いしながら力強く曲を閉じます。

〇サン=サーンス:交響曲 第3番「オルガン付き」
まず,楽章構成についての話です。この曲の出版譜は,「第1部」「第2部」の2部構成でできていますが,4楽章制の交響曲とみなしたほうが演奏側も把握しやすいなどの事情により,「第1部」を分割して「第1楽章」「第2楽章」に,「第2部」を「第3楽章」「第4楽章」とする場合があり,今回半田市民管弦楽団でも4楽章制とみなして練習しました。最後のほうでオルガンがハ長調の和音を目いっぱい鳴らすところが「第4楽章」の始まりです。

なお,ソロ扱いではないのですが,第3楽章と第4楽章で,ピアノが登場します。第3楽章では,一人で演奏,スピードのある上行音階が結構効果的です。第4楽章では4手(上声部に一人加えて連弾…今回は逆かも)できれいなアルペッジョが聞こえてきます。レガートの弦楽器の柔らかいメロディに連弾のピアノのアルペッジョを重ねる手法は,「動物の謝肉祭」の「水族館」で使われています。

第4楽章後半でTrombone,その後木管とHorn,Tubaで演奏される「ジュピター音型(とみなせるらしい)」,TromboneとTubaで演奏されるグレゴリア聖歌の「怒りの日」(下記譜面を参照)の断片(1個目のジュピター音型の直後に弦楽器→管楽器で出てくるコラールは「怒りの日」の長調変型とも言われています。)こういう背景から,この交響曲にオルガンが使われた理由も想像できるかもしれません。






VOL 1
※2022ファミリーコンサートで演奏する曲についてのコラム

「曲目解説」というほどのものではないです。曲について管理人が感じていることなどを書いてみました。記事内容の正確さはちょっとあいまいなところもありますがご了承ください。会場で配布されるパンフレットの曲目解説とは内容や曲名表記が異なる点があるかもしれません

※なおこの記事はお知らせなしに加筆・修正を行う場合があります。

【第1部1曲目:フィンランディア Finlandia 】
シベリウスが,祖国フィンランドへの愛と,他国による圧政への怒りなどを明瞭に表した名曲です。
金管の低音楽器が,暗いモチーフを f で重々しく演奏するところ(a-moll)から始まり、途中木管に物悲しい旋律(f-moll)が現れますが、やがて感情は高ぶっていき(c-moll),速い4分の4拍子に変わると同時にティンパニとトランペットで細かいリズムを刻みます。ここが「静」から「動」に音楽が変化する場所かなと思います。しばらくは短調のモードのままで進み,最初のモチーフも顔を出しますが,低音楽器の四分音符により長調(As-dur)に切り替わるとすぐに,シンバルを伴って祖国の愛を力強く全オーケストラで演奏する場面へと変わります。このAs-durの調性は最後まで保たれます。
その激しい波が一旦やむと,讃歌の部分(合唱を付ける演奏もあります)。始めは木管で、続いて弦楽器で演奏されます。
讃歌の終わりと同時に再び活気のあるAllegroに変わり,祖国愛を歌いあげて,堂々と曲を閉じます。

【2曲目:ハンガリー舞曲第5番 Ungarische Tänze für Orchester Nr.5 】
曲名は知らなくてもどこかで聴いたことがあるかも。ピアノで演奏されることも多いです。4分の2拍子。演奏時間は短くて,ブラームスの曲ながら,演奏のしやすさがあり,アマチュアオーケストラや吹奏楽編曲でもよく演奏されます。快活なテンポで始まりますが、途中急に遅くなったり速くなったり,聴いていて肩の凝らない楽しい曲です。

【3曲目:カルメン第1組曲,第2組曲より from Carmen Suite No.1 No.2 】
合計4曲をセレクトし,連続で演奏します。

「闘牛士 Les Toréadors」
多分一番聴き覚えのある曲。2/4拍子で活気のあるマーチ風。この曲と3/4拍子の短調部=Préludeを合わせたものを歌劇(全曲版)のスコアでは「第1幕への前奏曲 Prelude(or Introduction)to Act I」と表記していますが,動画サイトや一部の演奏会ではそのようには区別をしていない場合も見られます。

「ハバネラ Habañera」
カルメン=メゾソプラノが愛について自分の思いを歌う歌。切なさも含みながら堂々としているさまが目に浮かびます。カルメンのアリア部分は,組曲では,ヴァイオリン→フルート&クラリネット→トランペットと色々な楽器が担当し、その後も曲想の細かい変化と楽器の巧い選択が続きます。

「闘牛士の歌 Chanson du Toréador」
闘牛士のエスカミーリョ=バリトンが,居酒屋で,闘牛場の熱狂と恋について力強く,また朗々と熱く歌う場面です。組曲では,エスカミーリョの部分をトランペットで演奏します。

「ジプシーの踊り Dance Bohême」
異国情緒たっぷりの3/4拍子。フルートのデュエットで始まります。その後色々な楽器に受け継がれてラストは段々加速して全員の熱狂的な踊りで終わります

蛇足ですが,最初の「闘牛士」は「複数」なので,言ってみれば「闘牛士たち」。一方「闘牛士の歌」は「単数」なので,エスカミーリョその人を指しています。

【第2部1曲目:皇帝円舞曲 Emperor Waltzes 】
J.シュトラウス2世が作曲したウインナワルツの名曲です。最初は2/2拍子で宮殿を優雅に移動する皇帝のさま,または舞踏会開始へのワクワク感が描かれ,その序奏部が終わると3拍子になり,第1ワルツへ突入です。このモチーフは第4ワルツの後に続くコーダ部分でも再現されます。

【2曲目:グリーンスリーヴス幻想曲 Fantasia on Greensleeves 】
イングランド民謡「グリーンスリーヴス」を元に,小編成の管弦楽のために書かれた曲です。フルートの切なく美しい導入に導かれて,弦楽合奏がよく知られたメロディを奏でます。

【3曲目:連作交響詩「わが祖国」より「モルダウ」
Mein Vaterland -(Má Vlast)-Symphonische Dichtung Nr.2 Die Moldau -(Vltava)-
スメタナが故郷(現在のチェコ)を想って作った6連の交響詩「わが祖国」の第2曲で,日本では一番演奏されているのがこの「モルダウ」です。モルダウは川の名前(ドイツ語読み)ですが、最近は原語の「ヴルタヴァ」と読まれていることも増えているようです。

フルートの2重奏から始まり,まず源流の小さな流れから描写され、クラリネットも加わって、上行音型と下行音型が絡んだりアクセントが不規則についたりして段々と流れが集まっていく様子が描かれています。そのあとテンポが上がり,金管のファンファーレで始まる勇ましい「森へ狩り」,テンポが落ち着いて少し楽しげな雰囲気のある「村の婚礼」,村人たちの動きが止まると減五度の短和音に導かれて,静かで綺麗な「月の光~水の精の踊り」,そのあと急激に盛り上がりを見せて,また最初の「源流」のテーマが顔を出すと、「聖ヨハネの急流」という激しめの流れの音楽が出てきます。さらに長調(E-dur)で明るく力強い「ヴルタヴァの力強い流れ」が出てくると,エンディングが近いことが感じられます。曲全体で場面転換のポイントは分かりやすいと思いますが、それが何を描いているように聴こえるかは人それぞれかもしれません。