管理人のコラム

管理人発信の何気ない内容です


※2022ファミリーコンサートで演奏する曲についてのコラム

「曲目解説」というほどのものではないです。曲について管理人が感じていることなどを書いてみました。記事内容の正確さはちょっとあいまいなところもありますがご了承ください。会場で配布されるパンフレットの曲目解説とは内容や曲名表記が異なる点があるかもしれません

※なおこの記事はお知らせなしに加筆・修正を行う場合があります。

【第1部1曲目:フィンランディア Finlandia 】
シベリウスが,祖国フィンランドへの愛と,他国による圧政への怒りなどを明瞭に表した名曲です。
金管の低音楽器が,暗いモチーフを f で重々しく演奏するところ(a-moll)から始まり、途中木管に物悲しい旋律(f-moll)が現れますが、やがて感情は高ぶっていき(c-moll),速い4分の4拍子に変わると同時にティンパニとトランペットで細かいリズムを刻みます。ここが「静」から「動」に音楽が変化する場所かなと思います。しばらくは短調のモードのままで進み,最初のモチーフも顔を出しますが,低音楽器の四分音符により長調(As-dur)に切り替わるとすぐに,シンバルを伴って祖国の愛を力強く全オーケストラで演奏する場面へと変わります。このAs-durの調性は最後まで保たれます。
その激しい波が一旦やむと,讃歌の部分(合唱を付ける演奏もあります)。始めは木管で、続いて弦楽器で演奏されます。
讃歌の終わりと同時に再び活気のあるAllegroに変わり,祖国愛を歌いあげて,堂々と曲を閉じます。

【2曲目:ハンガリー舞曲第5番 Ungarische Tänze für Orchester Nr.5 】
曲名は知らなくてもどこかで聴いたことがあるかも。ピアノで演奏されることも多いです。4分の2拍子。演奏時間は短くて,ブラームスの曲ながら,演奏のしやすさがあり,アマチュアオーケストラや吹奏楽編曲でもよく演奏されます。快活なテンポで始まりますが、途中急に遅くなったり速くなったり,聴いていて肩の凝らない楽しい曲です。

【3曲目:カルメン第1組曲,第2組曲より from Carmen Suite No.1 No.2 】
合計4曲をセレクトし,連続で演奏します。

「闘牛士 Les Toréadors」
多分一番聴き覚えのある曲。2/4拍子で活気のあるマーチ風。この曲と3/4拍子の短調部=Préludeを合わせたものを歌劇(全曲版)のスコアでは「第1幕への前奏曲 Prelude(or Introduction)to Act I」と表記していますが,動画サイトや一部の演奏会ではそのようには区別をしていない場合も見られます。

「ハバネラ Habañera」
カルメン=メゾソプラノが愛について自分の思いを歌う歌。切なさも含みながら堂々としているさまが目に浮かびます。カルメンのアリア部分は,組曲では,ヴァイオリン→フルート&クラリネット→トランペットと色々な楽器が担当し、その後も曲想の細かい変化と楽器の巧い選択が続きます。

「闘牛士の歌 Chanson du Toréador」
闘牛士のエスカミーリョ=バリトンが,居酒屋で,闘牛場の熱狂と恋について力強く,また朗々と熱く歌う場面です。組曲では,エスカミーリョの部分をトランペットで演奏します。

「ジプシーの踊り Dance Bohême」
異国情緒たっぷりの3/4拍子。フルートのデュエットで始まります。その後色々な楽器に受け継がれてラストは段々加速して全員の熱狂的な踊りで終わります

蛇足ですが,最初の「闘牛士」は「複数」なので,言ってみれば「闘牛士たち」。一方「闘牛士の歌」は「単数」なので,エスカミーリョその人を指しています。

【第2部1曲目:皇帝円舞曲 Emperor Waltzes 】
J.シュトラウス2世が作曲したウインナワルツの名曲です。最初は2/2拍子で宮殿を優雅に移動する皇帝のさま,または舞踏会開始へのワクワク感が描かれ,その序奏部が終わると3拍子になり,第1ワルツへ突入です。このモチーフは第4ワルツの後に続くコーダ部分でも再現されます。

【2曲目:グリーンスリーヴス幻想曲 Fantasia on Greensleeves 】
イングランド民謡「グリーンスリーヴス」を元に,小編成の管弦楽のために書かれた曲です。フルートの切なく美しい導入に導かれて,弦楽合奏がよく知られたメロディを奏でます。

【3曲目:連作交響詩「わが祖国」より「モルダウ」
Mein Vaterland -(Má Vlast)-Symphonische Dichtung Nr.2 Die Moldau -(Vltava)-
スメタナが故郷(現在のチェコ)を想って作った6連の交響詩「わが祖国」の第2曲で,日本では一番演奏されているのがこの「モルダウ」です。モルダウは川の名前(ドイツ語読み)ですが、最近は原語の「ヴルタヴァ」と読まれていることも増えているようです。

フルートの2重奏から始まり,まず源流の小さな流れから描写され、クラリネットも加わって、上行音型と下行音型が絡んだりアクセントが不規則についたりして段々と流れが集まっていく様子が描かれています。そのあとテンポが上がり,金管のファンファーレで始まる勇ましい「森へ狩り」,テンポが落ち着いて少し楽しげな雰囲気のある「村の婚礼」,村人たちの動きが止まると減五度の短和音に導かれて,静かで綺麗な「月の光~水の精の踊り」,そのあと急激に盛り上がりを見せて,また最初の「源流」のテーマが顔を出すと、「聖ヨハネの急流」という激しめの流れの音楽が出てきます。さらに長調(E-dur)で明るく力強い「ヴルタヴァの力強い流れ」が出てくると,エンディングが近いことが感じられます。曲全体で場面転換のポイントは分かりやすいと思いますが、それが何を描いているように聴こえるかは人それぞれかもしれません。